「後釜」は失礼になる?
「後釜(あとがま)」は、「前の人に代わってその後にその地位につくこと。またその地位につく人や後任者」という意味があります。
また、「後妻(前の妻との離婚や死別により次に妻になる人)」という意味もあります。
「後釜」を「後妻」という意味で使うことは現在少なく、「後任者」としての意味の方が多く使われます。
- 彼が先代の後釜に座るだろう。
- 父は引退し、父の弟子が後釜におさまった。
- 監督はベテラン選手の後釜として若手選手をリストアップしているようだ。
- たくさんの人間が会長の後釜を狙っている。
などのように使われます。
では、「後釜」という言葉を使うと失礼になるのでしょうか?
「後釜」は、「後釜争い」や「後釜を狙う」、「後釜に納まる」のように、良いイメージがない使われ方もしていますが、「後任者」という言葉には、悪いイメージはありませんよね?
元々は「後釜」はかまどの火が消えないうちに次の釜に代えるという意味でした。
ガスがない時代では、次に使う火をまたつけて使うのはとても手間がかかるので、「釜」をかえて連続で火にかけていました。
この語源から「後にその役目をすること」として繋がっていきました。
ですから、「後釜」はよい場面にも使用されるので、失礼になるわけではありませんが、使い方によっては、失礼になりますので、気をつけましょう。
「後釜」の類義語には、「後任」「跡目」「家継」などがあります。
また、対義語には「前任」「先代」「前身」「先任」などがあります
「後釜」の使い方




「後釜」の例文
- ・・・を考えつく才能で、彼は常に大きなことを考えていた。自分たちのコンピュータは電話の後釜である、つまり何十年か前の電話がそうであったように、社会を完全に変革しうる道具だ・・・ジェフリー・S・ヤング(著) 「スティーブ・ジョブズ」
- ・・・ィンキュラー教会に埋葬された。 これまでのヘンリー八世は妃を遠ざけるとき、いつも後釜を用意し、すぐに新しい結婚に走った。しかし、キャサリン・ホワードのあと、新しい妃・・・石井 美樹子(著) 「イギリス・ルネサンスの女たち」
- ・・・、箱屋(三味線持ち)という商売だ。やってみる気があるなら爺さんの箱屋が亡くなった後釜だが、どうかね」 誘いの話を三角はしてくれた。道楽者の彼には楽な仕事で周りには芸・・・川崎 龍太郎(著) 「人情深川恋物語」
- ・・・う。私がペンシルヴァニア鉄道に入って六年後、スコット氏は副社長に昇進し、私はその後釜としてピッツバーグ地区の総責任者となった。初めての株式投資 ペンシルヴァニア鉄道・・・アンドリュー・カーネギー(著) 「富の福音」
「後釜に座る」とは

「後釜に座る」とは、「前任者が退いた後にその後にその地位につくこと。」という意味です。
「後釜」は上述の意味で、「座る」は「ある地位や役に就く」という意味です。
「後釜に座る」も「前任者が退いた後にその後にその地位につくこと。」という意味ですから、必ずしもよくない意味ではありません。
例えば、「前社長を陥れて、新社長の後釜に座った」はもちろん悪い意味ですが、「前社長の交代に伴い、常務が後釜に座る」というのは、決して悪い意味や、皮肉ではありません。
参考文献
- 編 山田忠雄・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2020)『新明解国語辞典』第八版, 三省堂.
- 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月24日).
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月24日).