「悪意」とは
「悪意(あくい)」とは、日常用語としては、「他人に対して故意に害を与えたり、不利益をもたらす意図を持つ心の状態」を指します。
つまり、他の人にとって良くないことをわざとしようとするときに、使われる言葉です。
一方、法律用語の「悪意」は、「特定の事実や他人の意図を知っている状態」を意味するので、例えば盗品と知っていてそれを売買した場合、両者に「悪意」があることになります。
- その衝突について彼は、悪意によるものではなく偶発的なものだと強調した。
- あなたのその言葉には明らかな悪意を感じる。
- 善意のつもりで伝えた言葉が、相手には悪意として伝わるかもしれない。
- 職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、損害を賠償する責任を負う。
などのように使われます。
「悪意」の「悪」の字は、「ただしくない。不道徳なこと」といった意味を持ちます。
そして「意」の字には、「心の中の思い、気持ち。行為が表している内容」の意味があります。
「悪意」は、他の人に対して何か悪いことをしたいと思う心の状態を指しますが、自身の心の中にある「悪意」だけでなく、他者の「悪意」を感じ取ったり、ある事象を「悪意」的に解釈したりすることもあります。
例えば、試合で対戦相手の選手がケガをしたときに、「ざまあみろ」と思うのは、ちょっとした「悪意」かもしれません。
また、下駄箱の靴を隠されたら、自分への明らかな「悪意」を感じ取るでしょう。
あるいは「有給あるでしょ?休んだらどう?」という言葉かけを「私が不要だから辞めさせるための悪意ある言葉」なのだと解釈し「辞めろってことですか?」と喧嘩腰になってしまうこともあります。
それが、「働ぎ過ぎだから体を休めては?」という思いやりの気持ちであったとしても・・・。
「悪意」は基本的にネガティブな意味として使われる言葉であり、いじめや喧嘩、暴力、違法行為、犯罪などを引き起こす原因となり得ます。
ただし、「悪意」は様々な要因や場面で生まれる感情であり、実際に危害を加えることはなくても、「悪意」は誰の心の中にもあるものと言えそうです。
「悪意」の類義語は、「悪気(わるぎ)」「意地悪」「悪感情(あくかんじょう)」「敵意」「悪心(あくしん)」などがあります。
「悪意」の対義語、反対語には「好意」「善意」「良心」などがあり、こちらは相手の幸福や利益を考慮し、親切で思いやりを持って、正しい行動をしようとする気持ちを表す言葉です。
「悪意」の使い方




「悪意」の例文
- ・・・善の可能性を信じてもいた。自分は、多くの面で劣る人間ではあるけれど、完全なる悪意の塊ではない。いい所が幾つもあるし、人間性も、捨てたものではない。瞬間風速で、
- ・・・どうしてさきのような「うわさ」が語られるか?それは事実とは無関係に、悪意と軽薄さが「うわさ」の運動のエネルギーとなっているからです。もともと「うわさ」に
- ・・・リンチにかけられそうになった、台湾人の少年の運命を通して、日本人の群衆が突然「悪意の巨人」に変貌してしまう恐怖を語っている。そのいずれも戦後でなければ語りえない題
- ・・・事実を知らないことを善意といい,一定の事実を知っていることを悪意という。「善意・悪意」という用語には,道徳的な意味での,「良い・悪い」という意味はなく,たんに,一定
「悪意」と「悪気」の違いは?

「悪意」と「悪気」の違いを見ていきましょう。
日常用語の「悪意(あくい)」は、「他人に対して故意に害を与えたり、不利益をもたらす意図を持つ心の状態」を指し、他人を傷つけたり、トラブルを起こしたりすることをわざと行う際に使われます。
つまり、「悪意」は、意図的に悪い行動や考えを持つことを示します。
「悪気(わるぎ)」は、「悪い心」や「良くないことをしようとする気持ち」を表す言葉で、「悪意」と同様に、意図的に悪いことをするという意味合いがあります。
ただ「悪気」は、ほとんどの場合は否定形で用いられ、「悪気がない」とか「悪気はなかった」と使われることが多いです。
「悪気がない」は、「良くないことをしようとする気持ちがなかった」ということなので、「何かトラブルを起こしたり、誤解を招いたりしたが、それは故意ではなかったという状況を表す」のに使います。
むしろ相手に害を与えよう、嫌な目に遭わせよう、そういったネガティブな気持ちそのものがなかった、という状態が「悪気はない」の意味です。
つまり、「悪意」は、明確に他人に害を与えることを意図している状態を指し、「悪気はない」は、悪い結果を招いたかもしれないが、それは意図的ではないことを示す際につかわれます。
「悪気はない」は、人に害を与えトラブルになっていながらも、その行為は「悪意」があってやったのではなくて、本人は何の気なしに、むしろ良かれと思ってやっている、というようなことです。
時々この「悪気がない」を、悪いことをしているのに相手や周囲に対して「申し訳ないと思う気持ちがない」と誤解して捉えている人がいます。
この場合は「悪びれない」「悪びれる様子もない」という言い回しが適しています。
「悪気」の例
- ・・・いつの間に日本を発ったのか、それともまだ日本にいるのか、まったく連絡がない。悪気はないのだ、と康子は思う。自分のことしか目に入っていないだけで。案外、自分も
- ・・・して考える。それは、情報産業に携わる者の必須項目だ。誰かについて何かを言う場合、悪気がなく言ったことでも、題材になった人が不快に感じることは、私たちの日常生活に多々
- ・・・った。気が弱るのはあたり前や」 じいはいつも、馬鹿にしたような言い方をする。別に悪気はないのかもしれないけど、時々イライラする。だから極をかばっていた。 「しかし翼
「悪意」「悪気」の違いまとめ
- 日常用語の「悪意」は、「他人に対して故意に害を与えたり、不利益をもたらす意図を持つ心の状態」を指し、意図的に悪い行動や考えを持つことを示します。
- 「悪気」は、「悪意」と同様に、意図的に悪いことをするという意味合いがあります。ただ「悪気はない」といった否定形で使われることが多く、相手に意図的に害を与えたいという気持ちがない状態のことで、実際に何かトラブルを起こしたり、誤解を招いたりしたが、それは故意ではなかったという状況を表します。
参考文献
- 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
- 編 柴田武・山田進 (2002)『類語大辞典』講談社.
- 編 藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光 (2011)『漢字源』改訂第五版, 学研.
- 著 鎌田正・米山寅太郎(2013)『新漢語林』第二版, 大修館.
- 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月29日).
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月29日).