「足元」とは
「足元」とは、「立ったり、歩いたりしている足が地面に接しているところや、その辺り」を意味します。
また、「歩くときの足の運び方・足どり」という意味もあります。
さらに「身の回りやおかれている状況」など本来の「足」とは違った比喩的な意味で使用することもあります。
- 電車に乗る時には足元に気をつけて。
- あの人の言動は私の足元を脅かす。
- 私は彼の足元にもおよばない。
- 足元がふらついてしっかり立てません。
などのように使われます。
「足元」の「足」は、文字通り「あし。あしで進むこと」などの意味を表し、「元」は「もと。根本」などという意味がありますので、「足元」は「あしのもと」すなわち「足が地面に接しているところや、その辺り」という意味になります。
「足元」は、漢字からわかるように「足の元」を表すことに使いますが、それ以外にも上記のように「身の回りやおかれている状況」や、さらには「苦しい立場」「差し迫った状況」「弱点」などを表す際にも使われます。
「苦しい立場」「弱点」などを攻めることを場合には「足元につけこむ」といった文章になり、「足元をみる」という表現も、相手の弱みにつけ込むという意味があり、似ている意味です。
また時間や時期が近い「直近」や「最近」という意味で「足元」が使われることもあり、かなり多くの意味を持っている言葉です。
「足元」の類義語には、「傍ら(かたわら)」「近辺」「近く」などがあります。
「足元」の対義語には、自分の手の届くところを表す「手元」があります。
「足元」の使い方




「足元」の例文
- ・・・うすることもできなかったのです。彼は、悪漢どもに打ちのめされ、酔っぱらいのように足元をふらつかせながらも、まだ立っていました。彼が、グンナリする頭を持ちあげようとす・・・チンギス・アイトマートフ(著) 「最初の教師・母なる大地」
- ・・・詫びします。 タオルが届いたら「失礼いたします」と申し上げてから、自分でお客様の足元にしゃがみ、濡れた部分をふき取ります。 別のスタッフは、周りのお客様に「失礼いた・・・木暮 衣里(著) 「モテモテ販売員の接客術」
- ・・・KGBは、政治ゲームに明け暮れて本来の仕事をやっていない。そんな彼らでは君たちの足元にもおよばないよ」 その言葉にセミョーノフは大いに元気づけられた。 「捜査はこの・・・落合 信彦(著) 「崩壊」
- ・・・が見えた。やったぞ。 機関車の煙がおしゃべりな人ごみの上に漂い、色とりどりの猫が足元を縫うように歩いている。おしゃべりの声と、重いトランクの擦れ合う音をくぐって、ふ・・・J・K・ローリング(著) 「ハリー・ポッターと賢者の石」
「足元」「足下」「足許」の違いは?

「足元」「足下」「足許」のそれぞれの違いを見ていきましょう。
この三つの言葉は、全てあしもとと読み、「足元」と同じ意味で、国語辞典でも同じ意味として載っています。
ただ、「立ったり、歩いたりしている足が地面に接しているところや、その辺り」という意味がありますが、「足元」「足下」「足許」では足の表す範囲が変わってきます。
「足元」が表す足の範囲は立っているところから1,2歩くらいの範囲を指し、足を動かせる範囲くらいの広さになります。
一方、「足下」は、範囲が狭くなり足の下、すなわち足の裏、真下を指します。
そのため「足下」は、立っている足のくるぶしから、下の部分(地面に接しているあたり)を表します。
「足元」は「足下」より、広い範囲になります。
「足下」の例
- ・・・も監視役に廻っていたおれのほうが、少しばかり責任は重いというべきかもしれない。足下は低い泥の崖になうている。崖を洗うように暗いブダー川の流れがあった。茶色に濁った・・・笠井 潔(著) 「ヴァンパイヤー戦争」
- ・・・を浮かべているはずのその表情が、今は厳しい。 青年は頭一つ分ほども背の低い少年の足下に膝を折り、そのつま先に額を押し当てた。青年の額にはなにやら金色の輪がはまってい・・・漲月 かりの(著) 「めざめよ運命の環」
- ・・・シュの光をまともに見て、藍は一瞬目がくらんだ。 「―皆さん、暗くなって来ました。足下に気を付けて下さい!」と言いながら、池から離れる。 目を開けると、フラッシュライ・・・赤川 次郎(著) 「神隠し三人娘」
「足許」も同様に大まかな意味では同じですが、範囲が変わってきます。
「足元」より、範囲がさらに1~2歩広くなります。
ただ「足許」は、「足元」に比べると使われる頻度は多くありません。
「許」を「もと」と常用漢字では読まないので、公用文としては使えないのです。
すなわち「足元」は、地面に足がついている部分やその周りという意味で使い、「足下」は足の裏を表します。そして「足許」は立っている足の周辺を表します。
なお新聞では、「足下」「足許」は使われず、「足元」の表記に統一されていますので、使い方に迷った際は、「足元」を使えば無難といえます。
さらに「足もと」の「苦しい立場」「弱点」という意味を表す「足もとを見る」は「足元を見る」「足許を見る」「足下を見る」という漢字の表記もよく見かけますが、国語辞典では「足元を見る」と表記されているので、新聞と同様に「足元」を使うのが無難です。
「足許」の例
- ・・・ろ残酷な香りさえした。聞くたびに幻聴におそわれたように耳の中で轟々と風がうなり、足許が冷たく感じられた。 幼い私は、父にたずねたことがある。 「お父ちゃん、私はお母・・・藤原 咲子(著) 「父への恋文」
- ・・・もなかった。失望しながらも未練を捨て切れず、頁をパラパラ繰っていると、ハラリと足許に落ちたものがある。 取り上げてみると、一枚の名刺であった。自分の名刺を一枚だけ・・・森村 誠一(著) 「人間の証明」
- ・・・きりとして袖垣のかげへ立ち止まっていた。晴れた秋の午下がり、一叢の萩が白く点々と足許に散りこぼれている。 「菊枝さんの前で、こんなことをいうと怒るかも知れんが」・・・山手 樹一郎(著) 「拾った女房/矢一筋」
「足元」「足下」「足許」の違いまとめ
- 「足元」は、立っているところから1,2歩くらいの範囲を指し、足を動かせる範囲くらいの広さ
- 「足下」は、立っている足のくるぶしから、下の部分(地面に接しているあたり)。足の裏。
- 「足許」は「足元」より、範囲がさらに1~2歩広い
- 使い方に迷った際は、新聞の表記に準じて「足元」を使えば無難
参考文献
- 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
- 著 鎌田正・米山寅太郎(2013)『新漢語林』第二版, 大修館.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月5日).
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月5日).