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「威嚇」とは?意味・読み方や類義語・対義語は?

「威嚇」の意味・読み方!
「威嚇」は、「いかく」と読み、「威力や武力などを見せつけ、実際に相手への直接の攻撃はせずに、相手に恐怖を与える。おどかす」ことを意味します。
「威嚇」する主な要因は、自分の身を守るためで、動物の世界でも、威嚇行動として毛を逆立てたり、牙をむいたりして、相手に「これ以上近づくと危険だぞ」というメッセージを送ります。
- 巣が近くにあったようで、歩いていたら、カラスが急に舞い降りて来て威嚇された。
- 保護猫は人に慣れていないので、近づくと「シャー」と鳴いて威嚇する。
- 犯人たちを追い込んだ警察は、空に向かって威嚇射撃した。
- 威嚇のためなのか、我が国領海近くに着弾するミサイルを隣国が打ってくる。
などのように使われます。
「威嚇」の「威」は、「相手を恐れさせる、おどす」という意味があり、相手に強さを示すことを表しています。
そして、「嚇」は「脅かす(おびやかす)」という意味があり、相手に対して恐れを与えるニュアンスがあります。
ですから、「威嚇」は、「威力や武力などを見せつけ、相手をおどかすこと」の意味があり、相手に対して自分の力や存在を示すことで、相手に恐怖心を与え萎縮させるという意味合いが含まれます。
実際に相手に攻撃するわけではなく、それに似た行為や様子を見せることで相手を脅かすことを表現しています。
自らの身を守るために自らの力を誇示する行為ですが、例えば他国の船や航空機などが自国の領土に入ってきたときにまず、威嚇射撃などを行い、それでも効果がないときは、攻撃することがあるように、攻撃の糸口として威嚇が使われる場合もあります。
「威嚇」の類義語・対義語!
「威嚇」の類義語には、「威迫」「脅迫」「恫喝(どうかつ)」などがあります。
「威嚇」の対義語・反対語には、「懐柔」「篭絡(ろうらく)」などがあります。
「威嚇」の手段は暴力的なものから穏やかな口調まで様々!
「威嚇」の手段として直接に暴力を想起させるものとしては、怒鳴る、怒りを言動に現す、睨み付ける、指をポキポキとならす、体の一部をつかむ、腕を振り上げ殴ろうとする、脅す、詰め寄るなどがあります。
また、見かけでは威嚇と取れない穏やかな口調や笑顔を向けることさえも威嚇に使われることがあります。
軍事においても、上述の威嚇射撃など、必ずしも相手を殺傷しない砲撃等によって相手の攻撃行動を控えさせる目的で行われることがあります。
しかし、国家間においては、このような行為は、より関係が険悪になり、本格的な攻防に進んでしまう例も少なくありません。
「威嚇」の使い方




「威嚇」の例文
- ・・・立ち、顔には深い老獪な皺が刻まれていた。そして蛇のように長い尻尾を、まるで僕らを威嚇するようにぬめぬめと振った。 蔭山は悲鳴を上げ、足を踏み鳴らした。すると化け鼠は・・・浅田 次郎(著)「鉄道員」
- ・・・グだった。口調は投げ遣りで、うすっぺらに響く。彼らの雰囲気は、それだけである種の威嚇を発散していた。千春は心臓が高鳴り、全身がこわばった。 「生前は那須野社長に、大・・・夏樹 静子(著)「訃報は午後二時に届く」
- ・・・ての心構えを問われることになってしまう。 二年近く前、暴走族を相手に拳銃を抜いて威嚇したS県警の巡査が、拳銃不法使用の罪で免職処分になった事件があった。これなどは典・・・末廣 圭(著)「魔性」
- ・・・ちがいなかった。 秀吉が北ノ庄城を訪ね、隠謀の張本人が成田であるといわんばかりに威嚇したときから、彼は自暴自棄になっていた。 越中攻めの諸将は、金沢北方四里の津幡に・・・津本 陽(著)「風流武辺」
「威嚇」「威圧」「威喝」の違いは?意味や読み方は?

「威嚇」「威圧」の違いや意味・読み方!
「威嚇」「威圧」「威喝」のそれぞれの違いを見ていきましょう。
「威嚇」は「威力や武力などを見せつけ、相手をおどかすこと」を意味し、自分には威力があることを相手に見せて、恐怖心を起こさせるというニュアンスがあります。
相手に直接的な暴力をふるうことはありませんが、机を叩いたり大声を出すなど攻撃に似たような行為や、攻撃をするふりをして、相手に強い恐怖心を感じさせる行為が「威嚇」です。
「威圧」は、「いあつ」と読み、「恐怖心を与える雰囲気や態度で相手を押さえつけたり、自分に従うように仕向ける行為」を意味します。
そして、「威圧」は、単に物理的に押さえつけるのではなく、険しい表情をしたり、にらみつけるなど態度で示すことです。
また、本人は意識していなくても怖いオーラがあり、無意識に威圧的な雰囲気を漂わせている人もいます。
「威嚇」と「威圧」という言葉は、どちらも「恐怖心を感じさせる行為」を表します。
威圧とは恐怖心を与える態度や雰囲気を表しますが、威嚇とは攻撃に似た行為により相手に恐怖心を与えることを意味します。
二つの言葉を比べると、威圧よりも威嚇の方が、攻撃的でより強い恐怖心を感じさせる程度が大きいと言えるでしょう。
「威圧」の例
- ・・・したこともな」 灰色の髪の小男が説明した。かなり早口で一気にまくし立てる。それで威圧を加えるのが狙いと思われた。 「そんなことは知りません」と、彼女はあたかも時間稼・・・柘植 久慶(著)「海底の煌き」
- ・・・あることにはある。 ―どうしよう? にらみあいがつづく。兄さんは何もいわず、ただ威圧する。 そのうち、向こうの席で別の兄さんがぼくより先に入ったアメリカ人と何やら大・・・奥田 継夫(著)「食べて歩いてやっと旅人らしく」
- ・・・その夜を麓の陣ですごしたばかりか、翌日も、そのまた翌日も滞陣したままだ。無言で威圧をかけているのか、それとも機をうかがい、山内侵入の機をねらっているのかもしれなか・・・南原 幹雄(著)「天下の旗に叛いて」
「威嚇」「威喝」の違いや意味・読み方!
「威喝」は「いかつ」と読み、「大きな声を出して相手に恐怖を与えて従わせようとする」ことを意味します。
「威喝」の「喝」は、「怒鳴りつける、大声で叫ぶ」などの意味を持つ漢字です。
ですから、「威喝」は、怖がらせる方法が大きな声を出す場合だけを指し、権威を使ったり、恐ろしいものを見せたり、暴力をふるったりなど、大声を出す以外の方法で怖がらせることには使用しません。
「威嚇」は上述のように「威力や武力などを見せつけ、相手をおどかすこと」を意味し、直接的な攻撃をすることはないですが、机を叩いたり大声を出すなどの行為や、攻撃をするふりをして、相手に強い恐怖心を感じさせる行為が含まれます。
例えば、「あやまりなさい!」と相手に大声で言うことは「威喝」ですが、「あやまらないとどうなるかわかっているか?」という攻撃を想起させるような脅しが入ると「威嚇」や「恫喝(どうかつ)」になります。
つまり、「威嚇」と「威喝」は「相手を怖がらせる」という点では意味が同じですが、怖がらせる方法が違います。
「威喝」は大きな声を出し、「威嚇」は威力を見せて怖がらせます。
「威喝」の例
- ・・・狩とはいっても後には食物などを供して、機嫌を取るような土地もあった。そうでなくともたいていは威喝だけで、事実捕獲をしようと迄はしなかった。・・・柳田 国男(著)「年中行事覚書」
- ・・・なりましたが振り向いて指示された空を見た時、北の方に怪物のような大雲を見て何だか威喝威喝されたように不安に胸がおどりました。 ・・・岡本 かの子(著)「母と娘」
- ・・・「何者だッ、貴様は」 海部の安井民右衛門、胸を張って威喝した。 ・・・吉川 英治(著)「鳴門秘帖」
「威嚇」「威圧」「威喝」の違いまとめ
- 「威嚇」「威圧」「威喝」という言葉は、いずれも「相手を怖がらせる行為」を表します。
- 「威嚇」は、「威力や武力などを見せつけ、相手をおどかすこと」を意味し、実際の攻撃ではなく、それに似た行為や様子を見せることで相手を怖がらせて脅かすことを表現する言葉です。
- 「威圧」は、「恐怖心を与える雰囲気や態度で相手を押さえつけたり、自分に従うように仕向ける行為」を意味し、自分自身、気付かないうちに「威圧」している場合もあります。
- 「威圧」よりも「威嚇」の方が、攻撃的で恐怖を感じさせる度合いが大きいという違いがあります。
- 「威喝」は、「大きな声を出して相手に恐怖を与えて従わせようとする」ことです。
参考文献
- 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
- 編 柴田武・山田進 (2002)『類語大辞典』講談社.
- 編 藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光 (2011)『漢字源』改訂第五版, 学研.
- 著 鎌田正・米山寅太郎(2013)『新漢語林』第二版, 大修館.
- 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年12月10日).
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年12月10日).