「威儀」とは?意味・読み方や類義語は?

「威儀」の意味・読み方!
「威儀」は「いぎ」と読み、「礼式に合った態度や振る舞い・重々しく威厳のある立ち居振る舞い」を意味します。
また、仏教用語における「威儀」は、「戒律にかなった起居動作のこと・僧侶の正しい振る舞い」、あるいは「袈裟(けさ)をまとうとき肩にかける平絎(ひらぐけ)のひも・袈裟に付けた肩掛けひも」のことを指します。
- 公の席に出る場合はふさわしく威儀を正す。
- 会長職を譲ってから、隠居の身分は気が楽で、威儀を張る必要はない。
- 新年祝賀の儀で、三権の長は威儀を正して前面に並んだ。
- 中世ヨーロッパの上流階級の人々は威儀を正すためにかつらをかぶった。
などのように使われます。
「威儀」の「威」には、「厳か(おごそか)、恐れさす」という意味があり、「儀」は「人が行う具体的な作法やふるまい」を意味するので、「威儀」は、「厳めしく(いかめしく)重々しい動作、作法や規律」といった意味合いとなります。
具体的に「威儀」は、儀式や式典などの中で、身なりを整え、ふさわしい衣装に身を包み重々しく振る舞うことを指します。
また、仏教用語では上述のように「規律にかなった起居動作」や「袈裟に付けた肩掛けひも」を意味し、威厳のある容儀(礼儀作法にかなった態度や姿)、人に崇敬の念を起こさせるほどの僧の行いを指します。
仏教においては、行(歩く)・住(止まる)・坐(座る)・臥(臥せる)を四威儀(しぎい)といいそれぞれに守るべき戒律が定められており、つまり威儀とは、日常生活におけるすべての行動を包括した僧としての正しい振る舞いを指しているのです。
実際、修行道場では、法要儀礼はもちろんのこと、朝起きたあとの顔の洗い方からはじまり、食事、トイレ、掃除、風呂、睡眠など、信じ難い細部にいたるまで、あらゆることに作法や規則が存在します。
「威儀」の類義語!
「威儀」の類義語には、近寄りがたいほど堂々としておごそかな意味である「威厳」、人間的重みや風格の意味である「貫禄」、重々しくいかめしいさまである「厳か(おごそか)」などがあります。
「威儀」の使い方




「威儀」の例文
- ・・・二重の袷小袖に柿染めの長裃を着した赤川大膳、藤井左京以下の家来と称する取り巻きが威儀を正してつづいた。 義種は酒井邸の広書院に設けられた二畳台の上の錦の褥を敷いた座・・・森村 誠一(著) 「天下の落胤」
- ・・・と肩をならべながら治憲が抱いた感想は、幕府の機構は、民を富ますことよりも礼儀三百威儀三千で諸侯を縛り、徳川将軍の権威と支配を維持するためにあるのではないかということ・・・藤沢 周平(著) 「漆の実のみのる国」
- ・・・、挨拶のために土俵にのぼる横綱・大関クラスの力士たちも、はだかではなく、正装して威儀を正していた。 大鉄傘の、巨大なドームにさし込む光を背にした双葉山の貫録には、幼・・・牛場 靖彦(著) 「大相撲牛場所」
- ・・・は愚かしく答えた。 来客を聞きつけて、別邸の守をしている旧藩士の老人が、袴をつけ威儀を正して玄関へ出て来た。そこで又暫く押問答が繰りかえされたが、結果龍子の云い分が・・・江戸川 乱歩(著)「陰獣」
「威儀を正す」とは?

仏教用語の「威儀」には、「袈裟に付けた肩掛けひも」という意味がありますが、僧侶は読経の際など、肩紐をシュッと引き締め、威儀の位置を整え、文字通り「威儀を正し」ます。
つまり、仏教で「威儀を正す」とは、一挙手一投足、すべて他人に畏敬の念を起させるような僧の行動のことを指し、仏の教えを実践する者として、ふさわしい行動が求められるということです。
すぐれた教えにより形成された内面の品格が外面に表れたということもあるでしょうし、形から入ることで、教えが身に染みていくということもあるでしょう。
ですから、一般的に使う「威儀を正す」も、「服装や姿を整えて作法に適った立ち居振る舞いをすること」を意味しており、外面に対してのみ使う言葉になります。
我々は人前に出るとき、身だしなみを整え、いい意味で人目を気にし、祝の席であれば、ふさわしい服装で出席するのが、招いた側に対する礼儀と捉えます。
折り目正しい服装に厳めしい挙措動作を煩わしく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、対人関係をスムーズに運ぶために必要なものなのでしょう。
なお「威儀を正す」は、「威儀を繕う」「威儀を調う(ととのう)」ともいいます。
参考文献
- 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
- 編 柴田武・山田進 (2002)『類語大辞典』講談社.
- 編 藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光 (2011)『漢字源』改訂第五版, 学研.
- 著 鎌田正・米山寅太郎(2013)『新漢語林』第二版, 大修館.
- 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年12月21日).
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年12月21日).