「幾重」の意味・使い方・例文!「幾重にも重なる」は正しい?(類義語・対義語)

「幾重」の意味・使い方・例文!

「幾重」とは?意味・読み方や類義語・対義語は?

「幾重」の意味・使い方・例文!

「幾重」の意味・読み方!

幾重」は「いくえ」と読み、「いくつも重なっていること・いくつかの重なり」を意味します。

物事が重なっている状態を表したり、物事が連続的に続くような状態を表す際に使われます。

  • 八重桜は幾重もの花びらが特徴で、中には200枚以上の花びらをつける花もある。
  • 天然水は幾重にも重なる地層によって自然濾過される。
  • 交差点の大事故で、幾重も見物の人垣ができていた。
  • 一度ならず二度までもご迷惑をおかけしたこと、幾重にもお詫び申し上げる。

 

などのように使われます。

幾重」の「幾(いく)」は、「数量の不明や数量の多い意を表す」接頭語で、「重(え)」には、「かさね・かさなったものを数える単位」という意味があります。

ですから「幾重」は、いくつも重なっていることを意味し、何層も重なっている状態物事が何度も繰り返される様子を表します。

一般的にはたくさん重なっているだけでなく、印象として重なりが多く感じられることを強調するときに使います。

「幾重にも」の使い方は?

幾重」は慣用的に「幾重にも」と、副詞での言い回しが多く、特に、後ろに、「わびる・願う」の類の語がきて、その気持を強調する語として用いられることがあります。

例えば、ビジネスシーンで相手に実質的な損害が出るほどの事態になってしまった原因がこちら側にあった場合に、「ご迷惑をお掛けしまして大変申し訳ありませんでした。幾重にもお詫び申し上げます。」などと使い、その件についてお詫びしたい気持ちを強調して伝えることができます。

相手に対して、いくつも詫びる必要があり重ね重ねお詫びを伝えたいという場面で使う言葉ですが、何度も繰り返し頭を下げるという意味合いもあります。

また、「幾重にもお詫び申し上げます」は口語で用いるより、お詫びの文章で使う方がふさわしい表現です。

「幾重」の類義語・対義語!

幾重」の類義語には、いく重にも重なり合うさまを意味する「重畳(ちょうじょう)」、同じ物事が重なり合うことを意味する「重複」、いくつも重なっている状態であることを意味する「多重」などがあります。

幾重」の対義語・反対語には、そのものだけであることを意味する「一重(ひとえ」などがあります。

「幾重」の使い方

フクえもん
そう太くん、幾重にも包帯が巻かれているその腕はどうしたんだい?
そう太
うん、今日、転んだ拍子にケガをして、保健室で手当てをしてもらったんだ。
フクえもん
痛いのかい?その包帯から察するにかなりの大ケガだね?
そう太
いや、実は擦り傷なんだけど…。ボクさ、転んだ時に大騒ぎしたらしく、みんなが心配してくれるもんだから、逆に恥ずかしいから大ケガに見えるように保健室の先生に頼んだだけなんだ…。

「幾重」の例文

  • ・・・びただしい剣付き鉄砲が柵のように前を鎖す、それではと引き返すと、また前方に兵隊が幾重もの黒い波となって襲い掛ってくる、どこへ行っても武装した兵隊の群にはばまれる、そ・・・加賀 乙彦(著) 「小暗い森」
  • ・・・ある。 上段と下段を比べてみると、街並みの差異はもう明白である。歴史の文化の層が幾重にも重なって、街の変位と情報遺伝子がどの建築物に集約されているかがわかる。 例え・・・望月 照彦(著) 「都市民俗学」
  • ・・・されてない心にビンビンくる。その気持ちに揺り動かされるたびに、目の前をふさいでた幾重ものカーテンが開いていく。心を萎縮させてた悩みのカーテン、自分を縛ってた固執のカ・・・田中 良成(著) 「超貧乏旅」
  • ・・・に横倒しになっている。この倒木もゆっくりと土に吞み込まれていく。速度の違う時間が幾重にも交差している。友介も子供のように雪の上を転がりたい気分になっている。 史男と・・・立松 和平(著)「月光のさざ波」

「幾重にも重なる」は正しい?誤用ではないの?

「幾重にも重なる」とは?

「幾重にも重なる」は正しい?二重表現の誤用?

幾重を用いた言い回しには「幾重にも重なる」があります。

幾重には「重」という漢字があるため、そこに「重なる」がつくと、二重表現の誤用のように見えます。

しかし、「幾重にも重なる」の「幾重にも」は副詞で、「幾つも重なっていること・何度も繰り返すさま」の意味があり「その重なり」を表しています。

ですから、「幾重にも重なる」は「その重なり」が「重なる」ことを意味しており、「さらに多いことを」強調している表現なので正しい日本語と言えます。

たとえば、「石を投げ込むと、波紋が幾重にも重なっての水面に広がった。」や「遠くを望むと、北アルプスの山々が幾重にも重なって続いている。」などのように使います。

参考文献

  • 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
  • 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
  • 編 柴田武・山田進 (2002)『類語大辞典』講談社.
  • 編 藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光 (2011)『漢字源』改訂第五版, 学研.
  • 著 鎌田正・米山寅太郎(2013)『新漢語林』第二版, 大修館.
  • 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年12月24日).
  • 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年12月24日).
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA