「悪行」とは
「悪行(あくぎょう)」とは、「一般的に悪いとされている振る舞いや行動」のことで、「あっこう」と読むこともありますが、「あくぎょう」が一般的です。
他人や社会に対して害を及ぼす行為や、倫理や道徳に反する行いのことを指します。
また、仏教では仏教徒が戒律(不殺生、不偸盗、不妄語…)を破った行いとされています。
- あの会社は談合や不正経理など多くの悪行を働いていた。
- 過去の悪行が露見し、彼は職を失った。
- 多くの悪行は金銭がらみで起きる。
- 聖職者が犯したこの悪行は、許すことができない。
などのように使われます。
「悪行」の定義は難しいですが、このように、他者や社会に対して損害や苦痛を与える行為を強調し、非難するために使用されます。
「悪行」の「悪」の字は「わるい」と読み、文字通り「悪い、ただしくない」といった意味を持ちます。
また「行い」は、もともと「歩く」という意味で使われていた動詞から派生し、転じて「実行する」「行動する」という意味としても使われるようになりました。
つまり「悪行」とは、悪い行いや行動のことを指す言葉です。
「悪行」の類義語には、「悪事(あくじ)」、「悪徳」、「犯罪」などがあります。
対義語として「善行(ぜんこう)」があります。
「悪行」の使い方




「悪行」の例文
- ・・・この間町じゅうで大評判をした、あの禽獣のような悪行を働いた罪人が、きょう法律の宣告に依って、社会の安寧のために処刑になるのを、見分しに行く市の名誉職十二人の随一たる己様だぞ。こう思うと、・・・アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ(著)/森鴎外(訳) 「罪人」
- ・・・ああ、と思わずうめいて、私は玄関の式台にしゃがんだまま、頭をたれて、その二十年まえ、のろくさかったひとりの女中に対しての私の悪行が、ひとつひとつ、はっきり思い出され、ほとんど座に耐えかねた。・・・ 太宰治(著) 「黄金風景」
- ・・・その善行なり、悪行なりの素因を万人は彼等の心事に見出そうとするように、私共が、或る国民の生活を観察する場合、漠然となりとも正鵠を得た、民族的気質を知らなければいけないと思うのです。 それなら、・・・宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
- ・・・音が聞こえた。マイケルは安心して本にもどった。話の冒頭は、悪者たちがしでかす悪行の部分だった。もっとあとの楽しい場面では、ローン・レンジャーがその仕返しをする・・・マックス・アラン・コリンズ(著)/ 松本剛史(訳)「ロード・トゥ・パーディション」
「悪行」と「悪業」の違いは?

「悪行」と「悪業」の違いを見ていきましょう。
「悪行」は、一般的に見て「悪い行いや振る舞い」の意味ですが、仏教的倫理的観から見る解釈もあります。
仏教徒が守るべき戒律を守らなかった場合に「悪」とみなされるのです。
仏教の「悪」には殺生や窃盗の他に、嘘をつくことやお世辞もその中に含まれますから「悪」の基準は難しいです。
一方、「悪業」は「業」の読み方を「ぎょう」と読む場合と「ごう」と読む場合があり、「業」の読み方に注目してその意味を理解してみましょう。
「業(ぎょう)」は、「なすべきこと、仕事、学問。わざ、行為。」という意味です。
ですから「悪業(あくぎょう)」は、「よくない行いや、社会的によくないと見なされる職業」のことを意味します。
そして、「業(ごう)」と読むのは仏教語ですが、仏教における業(ごう)の語源はサンスクリット語の「karman」です。
仏教における「業(ごう)」は、「行動」とその「結果」を意味します。良い行動をしたら良い結果が、悪い行動をしたら悪い報いが返ってくるという法則のようなものです。
つまり、「悪業(あくごう)」は、苦しみや悪い報いを招く前世での悪い行いのことです。
「悪業」の例
- ・・・善業の結果として好ましい世界へ生まれるように努めなさいと勧めるわけですし、悪業(あくごう)を重ねたら地獄に堕ちますよと戒めるわけですね。ここに仏教的な道徳の世界が開ける。・・・櫻部建(著) 「浄土と往生」
- ・・・ 「なんにもしないで一生を送った、ということは、あっしらの宗旨でいう悪業(あくごう)にも手を染めなかったわけですから、まちがいなく極楽行きでしょうな。」 ・・・小松重男(著) 「川柳侍」
- ・・・わたしはそれまでしてきたことを真剣に考え始めた。父の家を捨て自分の義務を放棄した悪業(あくぎょう)に天罰がてきめんにくだったと思った。 ダニエル・デフォー(著)/佐山栄太郎(訳)『ロビンソン・クルーソー』
「悪行」「悪業」の違いまとめ
- 「悪行」は、一般的に悪いとされている振る舞いや行動を差す場合と、仏教的倫理観から見た悪い行いを表す言葉としても使われる。
- 「悪業」は、「あくぎょう」と読む場合は、よくない行いや社会的によくない職業を意味しますが、「あくごう」と読む場合は、仏語で悪い報いを招く前世の悪い行いを意味します。
参考文献
- 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
- 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.三省堂
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月16日).
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月16日).