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「秋口」とは
「秋口(あきぐち)」とは、「秋の初め。秋になったばかりのころ」の季節を表す言葉です。
夏が終わり秋が始まったばかりの頃という意味で使いますが、「・・・口」という形での季節の言いかたは「秋口」だけで、「春口」「夏口」「冬口」とは言いません。
- 好調だった店の経営は、秋口からじりじりと売り上げを落としていた。
- 春先や秋口には体調を崩す人が多い。
- 冬眠前の秋口には太っているが、春になると痩せている。
- 季節はまだほんの秋口、暑い日もあり、半袖はまだしまえない。
などのように使われます。
「秋口」は、「秋のはじめの時期」の意味があり、俳句の季語では初秋の別称として使われます。
「秋」は、現在使われている太陽暦では9月から11月を指し、夜が長くなり、木々の葉が紅葉する季節です。
そして、「秋」と言えば、高い空、イワシ雲、虫の声、サンマ、キンモクセイの香り、どんぐり、など人によって異なるでしょうが、「秋だなぁ」と感じるものから「秋」の訪れを知ることもあります。
また、「…口」と表記できる季節が「秋」だけであることや、「食欲の秋」をはじめ「…の秋」とあえて表現される「秋」は、特別な季節であり、「秋」のはじまりがとても大切にされていたのかもしれません。
一方、陰暦で「秋」は、7月、8月、9月を指し、暦上の季節を示す二十四節気では、立秋(8月8日頃)から立冬(11月8日頃)まで、天文学上では秋分(9月22日頃)から冬至(12月22日頃)までを指します。
また、「初秋」は、陰暦の7月を指し、二十四節気の立秋(8月8日頃)から白露(9月8日頃)の前日までを指します。
これらのことから、暦上での「秋口」は、立秋(8月8日頃~22日頃)から処暑(8月23日頃~9月7日頃)の時期と言えそうです。
ただし、「秋口」に限らず、体感的な季節と暦上の季節にはズレを感じます。
これには、太陽暦と陰暦の違いであるとか、二十四節気がつくられた中国と日本の気候が異なるから、などの理由がありそうです。
「秋口」の類義語は、「初秋」「早秋」「新秋」などがあります。
「秋口」の使い方




「秋口」の例文
- ・・・に換羽を行ないますが、バタン類では繁殖期の後に行なうと言われています。また梅雨や秋口など季節の変わり目に換羽を始めることもあります。気候が安定した原産地ではインコた
- ・・・京しますから、義嗣卿もそれにあわせて御運をおひらき下さい、とつづけた禅秀は、その秋口から仮病を使って持氏を油断させることに努めた。 その間に各地に味方を募った禅秀が
- ・・・鮮度だけ。胸を張っては勧められるものではない」(築地・仲卸、赤羽)という。やはり秋口から冬場が食べごろ。特に、寒い時期に食べる脂の乗ったみそ煮は格別だ。 スーパーの
- ・・・、何もありませんでした。―棘― 十分な睡眠から、心地よく目が覚めました。春先から秋口までは、厚いカーテンの端から微かに光が見えます。晩秋から冬なら、眠りに就いたとき
「秋口の挨拶文」をご紹介!

時候の挨拶の「漢語調」と「口語調」とは?
「秋口」は「夏が終わって秋のはじめ頃」のことです。
体感的にはまだ暑い日が続きますが、夏から秋へと移り変わる9月に使える挨拶文を見ていきましょう。
時候の挨拶は、季節感を表した言葉で、「新秋の候」のように簡潔に表した「漢語調」と、「すがすがしい秋風の吹く頃となりました」のように話し言葉でやわらかい言いまわしの「口語調」があります。
一般的に、ビジネスなど固い場面では、かしこまった漢語調の表現が使われることが多く、私的な文書では、身近な口語調を使う方が多いです。
9月に使える時候の挨拶
9月に使える「漢語調」の時候の挨拶は、「新秋(しんしゅう)の候」「初秋(しょしゅう)の候」「秋涼(しゅうりょう)の候」「孟秋(もうしゅう)の候」「爽秋(そうしゅう)の候」などがあります。
「漢語調」は「拝啓 〇〇の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」のように使います。
次に「口語調」の例を見てみます。
- すがすがしい秋風の吹く頃となりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
- 木々のこずえをわたる風にも涼気を覚える頃となりました。
- 空高くいわし雲がかかり、秋の風情が感じられるようになってまいりました。
- 九月とはいえ残暑厳しく、涼風の待たれるこの頃でございます。
他にも、9月の季語、「中秋の名月」「秋刀魚」「秋桜」「鈴虫」「初紅葉」「葡萄」などを入れると雰囲気が感じられるでしょう。
立秋に使える時候の挨拶
ところで、体感的な季節と暦上の季節のズレは、手紙などの挨拶文にもあります。
時候の挨拶は、暦上の季節を示す二十四節気毎に使い分けるのが一般的なので、現実の季節とはズレを感じるかもしれません。
例えば、「秋口」は、暦上では立秋(8月8日頃~8月22日頃)と処暑(8月23日頃~9月7日頃)の時期を指しますから、「秋口の挨拶文」というと、立秋頃の挨拶文ということになります。
つまり、まだまだ暑い8月8日頃の手紙には「暦の上では秋がはじまる立秋になりましたね」という意味で「立秋の候」と書きます。
立秋(8月8日頃~8月22日頃)に使用する挨拶文の例を見ていきましょう。
「漢語調」では「残暑の候」「納涼の候」「晩夏の候」「暮夏の候」「秋にはまだ遠く」など、夏の終わりを表現する言葉が多いです。
次に「口語調」の例を見てみます。
- ようやく夏も盛りを過ぎまして、ますますご壮健にてお暮らしのことと存じます。
- 残暑もようやく衰えを見せる頃となりました。
- 済みわたる夜空に星が美しく眺められる季節になりました。
- 今年もまた盆踊りの季節となりましたが、ご壮健にてお暮らしのことと存じます。
処暑に使える時候の挨拶
次に、処暑(8月23日頃~9月7日頃)に使用する挨拶文の例を見ていきましょう。
「漢語調」では「秋暑の候」「納涼の候」「早涼の候」「初秋の候」など8月下旬から9月上旬にかけては、秋のはじまりを感じさせる時候の挨拶が多くなります。
次に口語調の例を見てみます。
- 窓外より聞こえくる虫の音に、しだいに秋の気配を感じる頃となりました。
- たそがれ時の風の涼しさに、秋の近いことを実感しております。
- 空の青さに、いつしか秋涼を覚える昨今です。
- 近所の河原に秋の気配を感じるススキを見つけました。
時候の挨拶は季節感のズレに注意!
「時候の挨拶」は日本の独特の慣習ですが、漢語調は、現実の季節感とズレる場合が多いので、間違わないように注意が必要です。
一方の口語調の言いまわしは、より季節感を出した表現が楽しめますが、相手の地域の季節感に合わせる配慮が必要です。
参考文献
- 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
- 編 柴田武・山田進 (2002)『類語大辞典』講談社.
- 編 藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光 (2011)『漢字源』改訂第五版, 学研.
- 著 鎌田正・米山寅太郎(2013)『新漢語林』第二版, 大修館.
- 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月10日).
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月10日).