「悪事」とは
「悪事(あくじ)」とは、「法や道徳に背いた行為、悪い行い」と「わが身に降りかかる災い、災難」の2つの意味を持つ言葉です。
- 悪事を働くは、いずれその報いを受けることになるだろう
- 彼の些細な発言によって、悪事が露見することとなった
- 「悪事千里を走る」にならないよう、言動に注意しましょう
- 今日は蜂に刺され、突然の雨にも降られ、悪事が重なった
などのように使われます。
「悪事」の「悪」の字は「わるい」と読み、文字通り「悪い、ただしくない」といった意味を持ちます。
また「事」の字は、「こと」と読み、「しわざ」といった意味を持ちますので、「悪事」は「悪いしわざ」すなわち「悪い行い」という意味を表します。
なお「悪事千里を走る」という言葉がありますが、その由来は、中国の書物『北夢瑣言(ほくむさげん/ほくぼうさげん)』に登場する「好事門を出でず、悪事千里を行く」という一文です。
「よい行いはあまり広まらないが、悪い行いや噂はすぐに世間に知れ渡る」という意味を持ち、どんなに小さな悪事も働くべきではないということを説いています。
「悪事千里を行く」や「悪事千里」という形でも使用します。
「悪事」の類義語には、「凶行(きょうこう) 」「悪行(あくぎょう/あっこう)」などがあります。
また、対義語として「好事(こうじ)」「善事(ぜんじ)」「善行(ぜんこう)」などがあります。
「悪事」の使い方




「悪事」の例文
- ・・・赦しません。ポローニヤス、僕は、はつきり言ひます。あなたは、不忠の臣だ。叔父上の悪事の噂を信じ、母上を嘲笑し、僕を本物の気違ひにしようとしてゐる。ハムレツト王家の、・・・太宰 治(著)「 太宰治全集(第4巻)」
- ・・・能寺を攻めた兵士で、明智軍の貴重な生き残りなのである。元来が山賊で、若い頃は随分悪事を働いたらしいが、後年前非を悔いたということである。その手記の中で惣右衛門は、本・・・円堂 晃(著)「「本能寺の変」本当の謎:叛逆者は二人いた」
- ・・・「出奔」とか「逐電」、つまり武士の蒸発の記事がとくに目立つ。その理由には、密通や悪事の露見を恐れたものもみられるが、理由不明な場合も多かった。理由不明な場合は、他方・・・柴田 純(著)「 江戸武士の日常生活:素顔・行動・精神」
- ・・・「余人は知らず、なにとぞわがために世の乱れを起こさせたまえ。しからずんば、われを悪事災難の場、珍事重要の庭に引出され候え。南無帰命頂礼諸願成就」 なんだあの坊主は、・・・司馬 遼太郎(著)「司馬遼太郎短篇全集(第4巻)」
「悪事を働く」とは

「悪事を働く」とは、「反社会的な行為や、道徳的に問題のあるような行動を取ること」を示す表現です。
ここで用いられている「悪事」は、「法や道徳に背いた行為・悪い行い」を意味します。
また、「働く」には「仕事をする、労働する」などの意味の他に、「よくないことをする」という意味もあります。
これらを組み合わせた「悪事を働く」は、「道徳や法律に反した行為をする」ことを表します。
「悪事を働く」は、日常会話ではさほど使われていませんが、有名な小説の一文として使われています。
そこで、芥川龍之介の小説『蜘蛛の糸』の一文を紹介します。
・・・この犍陀多(かんだた)と云う男は、人を殺したり家に火をつけたり、いろいろ悪事を働いた大泥坊でございますが、それでもたった一つ、善い事を致した覚えがございます。・・・
【引用元:芥川 龍之介(著)蜘蛛の糸】
数々の悪事を働いた大泥棒の犍陀多(かんだた)は、地獄に落ちてしまいました。
しかし、たった一つの善事・善行のおかげで、地獄から這い出すチャンスをもらうが・・・というストーリーですね。
参考文献
- 編 見坊豪紀・市川孝・飛田良文・山崎誠・飯間浩明・塩田雄大(2021)『三省堂国語辞典』第八版, 三省堂.
- 編 池田和臣・山本真吾・山口明穂・和田利政(2023)『旺文社国語辞典』第十二版, 旺文社.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月3日).
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月3日).