「悪友」とは?いい意味?
「悪友(あくゆう)」には、使い方で違う2つの意味があります。
一つ目は、「よくないともだち、交際していてためにならない友人」を指します。
二つ目は、「気心知れた仲間や友人のことを親しみを込めて呼ぶ名称」として使います。
ですから、一つ目の意味で使う場合は、決していい意味ではありませんが、二つ目の意味で使う「悪友」は、いい意味と言えるでしょう。
- 学校を休み悪友とつるむようになった彼とは会う機会が減った。
- 悪友の影響で彼女の性格や雰囲気などすっかり変わってしまった。
- 彼女は大学時代の悪友たちと一緒に笑い転げていた。
- 新郎の悪友たちは、結婚式で照れている新郎をからかって囃し立てた。
などのように使われます。
「悪友」の一つ目の意味は、「交際して身のためにならない友だち」のことを意味し、悪いことを率先して行ったり、悪の道に引きずり込んだり社会的にためにならないような友だちのことを指します。
つるんでも悪いことしか起きない友だちですが、孤独を避けるために一緒に居てくれたり、仲間内にはやさしくしてくれたり、楽しい時間を共有したりすると、自分にとって「悪友」であると認識するのは難しいのかもしれません。
また、仏教用語における「悪友」は、道徳的に自分にダメージを与える人々を指します。
心から親切に優しくしてくれる人であっても、悪い方向へ、罪の方向へと自分を誘惑する友だちは「悪友」だから、避けるべきと説いています。
例えば、お店で「化粧品を一緒に万引きしよう。捕まったら自分だけが罪をかぶるから逃げてね。」と本気で言われたとします。
他人に罪をかぶせず、むしろ自分がかぶってくれるというほど親切(?)ですが、万引きに誘うのは「悪友」です。
「悪友」の類義語は、「遊び仲間」「遊び友達」「のら友達」などがあります。
「悪友」の対義語・反対語は、「良友」「益友」などがあります
一方、二つ目の「悪友」は、「親しみを込めて親友や遊び友だち」を指して使います。
こちらは「一緒に悪いことをするくらい仲の良い友だち、良いことも悪いことも含めて付き合ってきた深い友だち」というニュアンスが込められた表現です。
昔からの付き合いである友だちや、特に仲良くしている友人を指して使うことが多いです。
ところで、昔からのことわざに「その人を知らざればその友を見よ」がありますが、その人のことを知りたければ、交わる友を見れば人柄がわかる、という意味です。
つまり、悪い人物には悪い友だちができるし、善い人には善人の友だちができるから、友だち選びは大事である、ということですね。
「悪友」の使い方




「悪友」の例文
- ・・・心に於て亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり。」 福沢は「アジア連帯思想」から、「悪友と親しむ者は共に悪名を免かる可ず」と、アジアの「醜」から離別することの正当性を説
- ・・・を持っていた兼次郎だった。このとき女に誘われて寝たのが女道楽の始まりとなった。 悪友に誘われるままに女遊びの面白さにおぼれ、不良な遊びは彼を狂わせた。遊ぶ金に困った
- ・・・れ、父の建築の仕事の関係で転校が多かった。 中学時代は大阪に転校。サッカー部では悪友のような親友との出会いが僕の人生を少しずつ変えていった。 中学も転校で福岡に戻る
- ・・・るのは、やはり実の息子でしかありえない。サンドラールというのは筆名だ。あの旧知の悪友こそは、本名ユスターシュ・ドゥ・カヴォワに他ならなかったのだ。
「悪友」と「親友」の違いは?

「悪友」と「親友(しんゆう)」の違いを見ていきましょう。
「悪友」は、「よくないともだち」のことを意味し、悪い遊びを教えたり悪の道に引きずり込んだりなど交際しても良い結果にならず悪いことしか起きない友だちを指します。
ただし、「悪友」は、「一緒に悪いことをするくらい仲の良い友だち」というニュアンスで「気心知れた仲間や友人のこと」を指す場合もあります。
「親友」は、「お互いに心をゆるし合っている仲の良い友だち」を指しますので、「悪友」の二番目の使い方と同じ意味合いがあると言えます。
そして、「親友」はただの友だちではなく、極めて仲の良い関係にある友だちを表します。
どこからを「親友」にするか基準は人それぞれですが、「友人」と違い、信頼し合っている人、深刻な話ができる人、沈黙が流れても苦痛ではない人など二人の間にある関係性が強調されます。
例えば、親友の関係性を表す言葉には、故事を出典とする以下のような言葉が昔からあります。
- 「刎頚の交わり(ふんけいのまじわり)」:相手のためなら、たとえ首をはねられても悔いはないと思える固く結ばれた友情のこと。
- 「莫逆の友(ばくぎゃくのとも、ばくげきのとも)」:互いの気持ちがぴったり合った非常に親しい友人。
- 「水魚の交わり(すいぎょのまじわり)」:水と魚のように、切っても切り離せない親しい関係
- 「肝胆相照らす(かんたんあいてらす)」:互いに心の底まで打ち明けて交わる。きわめて親しくつきあう。
また、若者を中心に、友人との関係を表現する言葉は、「マブダチ」「ずっ友」「イツメン」「マイメン」「BFF(Best Friend Forever)」など、時代の変遷とともに現れ続けています。
「親友」の例
- ・・・とった。 村瀬医師は、もともとは従兄の脇晋助の旧制第一高等学校時代の同級生であり親友であったが、晋助が戦地で発狂して復員してきたあとは、大学病院の精神科の医師として
- ・・・雨空のように、暗く沈んだ気持ちのほうが大きくなってきていた。 そんな隆治の変化に親友の卓也が気づかぬはずはない。 「隆ちゃん、あのうわさ、きみときみのお父さんのこと
- ・・・し訳なさを感じたのだが、むしろ稀一は鷹也のそんな遠慮に眉を顰めた。 「俺はきみの親友じゃないのか」 ―なんとも、耳に痛い、そして、嬉しい言葉だった。 「この絵は手紙
「悪友」「親友」の違いまとめ
- 「悪友」は、「交際していてためにならない友人」を指しますが、「親しみを込めて気心知れた仲間や友人の名称」として正反対の意味で使うこともあります。
- 「親友」は、二つ目の「悪友」と同様のニュアンスを含む、「お互いに心をゆるし合っている仲の良い友だち」を指します。ただし「親友」における二人の関係性の明確な基準はありません。
参考文献
- 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
- 編 柴田武・山田進 (2002)『類語大辞典』講談社.
- 編 藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光 (2011)『漢字源』改訂第五版, 学研.
- 著 鎌田正・米山寅太郎(2013)『新漢語林』第二版, 大修館.
- 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月15日).
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月15日).