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「安穏」とは?意味・読み方や類義語・対義語は?仏教用語?

「安穏」の意味・読み方!「あんおん」は間違い!
「安穏」は、「あんのん」と読み、「落ち着いて気楽なこと」や「平和で異変がなくおだやかなこと」を意味します。
今その状況、場面が落ち着いている意味や、その場面で人のこころが落ち着いているのを表す言葉です。
なお、「安穏」の読み方が「あんおん」ではなく、「あんのん」と読まれるのは、連声(二つの語が並び、つながっているときに生じる音の変化で読みもかわることがある)によるもので「おん」が「のん」に変わり、このように読まれます。
連声の例としては「因縁(いんえん)」を「いんねん」、「三位(さんい)」を「さんみ」、「銀杏(ぎんあん)」を「ぎんなん」などがあります。
- 私は、老後を安穏にすごせるように毎日頑張っている。
- この音楽を聴くと安穏な気分になることができる。
- 財産を十分残してくれていたので安穏とした生活ができそうだ。
- 無事安穏を祈るために神社に赴いた。
などのように使われます。
「安穏」の「安」は「やすらかである・落ち着いている・心配がない」という意味があり「穏」も、同様に「やすらか・ゆったりしている・心配がない」という意味があります。
そのため「安穏」は、「やすらか・落ち着いている・心配がない」を強調する意味になります。
「安穏」の類義語・対義語!仏教用語にもある?
「安穏」の類義語には、「落ち着いていることや無事・平和」という意味の「安全」「安泰」「安寧(あんねい)」「穏やか」「穏和」などがあります。
対義語は、「危ないさま」という意味の「危険」や「剣呑(けんのん)」があります。
なお「安穏」は仏教でも大切にされている言葉です。
浄土真宗の開祖・親鸞(しんらん)が残した教えの中に、「世のなか安穏なれ、仏法ひろまれ」という言葉があります。
この言葉は「一人一人が穏やかな気持ちで、正しい判断をすることで、おのずと平和で豊かな世の中、安穏が訪れる」と説いています。
「安穏」の使い方




「安穏」の例文
- ・・・その姿は鮮やかになって、島民の心のうちに焼きついていってしまったのである。娘は安穏な地を求めてさまよいつづけているのか、その行動は神出鬼没で、いつ、どこへ現れるか・・・藤川 桂介(著) 「シギラの月」
- ・・・介払い」かもしれないという。結束が固いと信じていた菊池一族といえども、わが身の安穏を図るためとあらば、存外、絆のもろい面があるのかもしれない。忠義武烈、信義に篤・・・内田 康夫(著) 「菊池伝説殺人事件」
- ・・・れオタク風のさやかならすぐ落ちるところで、律子と親密な交際を続けている間、僕は安穏としていたわけではない。当初の目論見どおり、陶芸教室は男性がすごく少ないため、そ・・・ドラゴン今中(著) 「愛の方程式」
- ・・・割を担うことを恐れ、働きかけをしないよう、避けている。僕たちは、平穏無事に、ただ安穏と生きていければ良い、毎日が楽しければ良い、美味しいものが食べられれば良い、自分・・・森 博嗣(著) 「四季」
「安穏無事」とは?

「安穏」が入っている言葉に「安穏無事」があり、「あんのんぶじ」と読みます。
「これといった事件もなく、世の中や暮らしが穏やかで安らかな様子」という意味です。
「安穏」が「落ち着いて気楽なこと」や「平和で異変がなくおだやかなこと」という意味で、「無事」が「心配するようなことが起こらないこと」という意味です。
自分自身だけではなく、社会なども含め、広い範囲で平和である状態です。
「安穏無事に一日が終わった。」「お坊様が安穏無事を祈っている」などのように使います。
「安穏無事」の類義語としては「天下泰平」「平穏無事」があります。
「安穏に過ごす」とは?

「安穏に過ごす」は、「変わった出来事もなく、穏やかで安らかな様子」という意味です。
何かに悩むこともなく、気楽に過ごすことができる状態を表しています。
「過ごす」は「時間がたつのにまかせる」や「暮らす」という意味を持つので、「安穏」の状態が一瞬で終わるのではなく、ある一定の時間続いている状態を表しています。
「私は母が安穏に過ごせるように願っている」「祖父は晩年安穏に過ごしていた。」などのように使われます。
「安穏に過ごす」の類義語としては「平穏に過ごす」があります。
参考文献
- 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
- 編著 北原保雄 (2010)『明鏡国語辞典』第二版, 大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年12月3日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年12月3日).
- 倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2011)『新明解国語辞典』第七版, 編 山田忠雄・三省堂.