「安牌」の意味・使い方・例文!「安牌をとる」とは?「塩梅」との違いは?(語源由来・類義語)

「安牌」の意味・使い方・例文!

「安牌」とは?意味・読み方や語源由来・類義語は?

「安牌」の意味・使い方・例文!

「安牌」の意味・読み方は?

安牌」は「あんぱい」と読み、安全牌(あんぜんぱい)の略称で、「安パイ」と表記することもあります。

麻雀において「その牌を手放しても相手の勝利につながらない牌」のことを意味し、これは、自身の敗北を避けるための戦略です。

転じて、日常会話においても「リスクが少ない、扱いやすい、無難な選択肢」「当たり障りのない無難な選択、行動」などの意味で用いられます。

ただ良い意味の安全策というよりは消極的なイメージの使われ方をすることが多いです。

  • ベストな選択が見えないので安牌を選んでおいた。
  • 落ちるのが怖くて第一志望を諦め、安牌の高校を受験した。
  • 昼食会のメニューはカレーを選んでおけば安牌でしょう。
  • 好みもわからないし、返礼品はカタログギフトが安牌だね。

 

などのように使われます。

「安牌」の語源由来は麻雀!類義語は?

上述のように「安牌」は、もともと「安全牌」という言葉の略称で、麻雀用語が語源の由来です。

日本に麻雀が入ってきたのは明治42年ですが、昭和で爆発的人気を博し、学生やサラリーマンのたしなみ、コミュニケーションツールとして、社会に浸透していきました。

麻雀は基本的に四人で行い、と呼ばれる駒を順番に取る、捨てる、を繰り返すゲームです。

勝つためには必要な種類のを揃えると同時に、自分がを捨てる際、相手にとって有利になるを手放さないように注意しなければなりません。

この時、手放しても相手の勝利にはつながらない、自分にとって安全な安全牌、略して安牌といいます。

ゲームの中では安全牌を捨てる、ということは、リスクは少ないですが、得られるものもない、「攻め」というより「守り」の戦略です。

転じて、麻雀以外でも、「リスクは少ないが満足のいく結果も得られない、良くも悪くもない無難な選択」として、使われており、「積極性にはやや欠ける選択」ともいえます。

ただ、「安牌」は決して悪いということではなく、「安全策」という意味でもあるので、時と場合によっては最善策ともいえます。

なお、「安牌」は俗語であるため、かしこまった場面や相手が目上である場合などは、使うことは控えた方がよいでしょう。

安牌」の類義語には、「無難」「当たり障りのない」「安全策」などがあります。

もともと、麻雀用語だった「安牌」ですが、他にも「断トツ、テンパる、メンツ、ワンチャン、リーチ」等、普段使ってるような言葉も麻雀用語です。

「安牌」の使い方

そう太
フクえも~ん、オシャレって難しいね。ボクは好きな服を着たいだけなのに、「そう太くんはいつも安牌な色の洋服ばかり着ている。」と言われちゃったよ。
フクえもん
おや、手厳しいね。ところで、安牌な色って何色のことなんだい?
そう太
う~ん、よくわからないけど、”黒いパンツ”と”白いシャツ”とからしいよ。
フクえもん
ほっ。そうか、そうか。(僕みたいな)茶色と白は大丈夫なんだね・・・。

「安牌」の例文

  • ・・・、その光景に憧れた。たまたま恭子が常に人眼をはばかるくせに長いぬるま湯みたいな安全牌の恋しかしていなかったからである。短い同棲で男をすっぱり諦めるのも辛かろうが、・・・山口 洋子(著)「演歌の虫」
  • ・・・今度のことで、要介に嫌われるなら嫌われてもかまわない。絶対の安全牌を失うのは淋しいが、いつまでもそんな我儘を通せるものではない。修子は自分にいいきかせると、いつも・・・渡辺 淳一(著)「メトレス愛人」
  • ・・・誰かが、リーチをかけると、決して無理をしない。安全牌を放りながら、手づくりしてゆく堅実型であった。中原と蘭子とは、着実に点数を重ねて行った。・・・梶山 季之(著)「現代悪女伝・欲望の罠」
  • ・・・彼は追っかけリーチしてくるだろう。もしテンパイの構えでリーチしてこないなら、私の安全牌で当りになっている場合だ。私は一応、安にテンパイを通しておいた。・・・阿佐田 哲也(著)「新麻雀放浪記」

「安牌をとる」とは?

「安牌をとる」とは?

安牌をとる」は、「あんぱいをとる」と読み、上述した通り麻雀用語が由来で、「リスクを避けて安全な選択をする」ことを指し、日常でも使われます。

失敗や危険を避ける堅実な選択をする」ことは、安定した結果を得やすい反面、当たり障りがなくつまらないと捉えたり「成長や挑戦」を妨げる可能性があります。

そのため「安牌をとる」ことには、リスク回避や安定感を得られるメリットがある反面、成長の機会を逃したり、変化に弱くなるといったデメリットもあります。

なので、例えば、ビジネス上の提案で「安牌をとったね・・」と言われたら、安全策をとったねという意味になりますが、手堅い一手を褒められたのか、あるいはもっと攻めた案を出してほしいのか、その意味合いは前後の会話によります。

また、安牌をとり、あくまでリスクが少ない方を選んだとしても、必ずしも良い結果が得られるとは限らず、安牌をとる行動」をしても失敗する場合もあります。

「安牌」「塩梅」の違いは?「塩梅」の語源由来は?

「安牌」「塩梅」との違いは?

「安牌」「塩梅」の違いは?「塩梅」の意味・読み方は?

安牌塩梅のそれぞれの違いを見ていきましょう。

安牌」は、「当たり障りのない無難な選択、行動」を意味していて、安全ではあるが得られるものも少ない状態のことを指します。

塩梅は、「あんばい」と読み、「具合や様子」を指す言葉です。

「料理の味つけの具合や加減」「機械の調子や体の健康、仕事などの状況」など、幅広いものの具合や様子を表します。

また、「塩梅する」のように動詞として使用することで「物ごとやスケジュールなどを考えて処理したり整えたりすること」という意味を表せます。

「塩梅」の語源由来は?

塩梅」の語源は文字どおり「」と、塩漬けにした梅の実からしみ出した「酢」です。

「梅酢」は梅の風味と酸味が強いのが特徴で、醤油もなかった時代は、ほとんど塩と梅酢だけで料理の味付けをしていました。

料理の味付けの加減がいいときに「塩梅がいい」といっていたことが、「塩梅」の語源といわれています。

また、雅楽で主旋律となる篳篥(ひちりき)は同じ音でも、吹き方や唇の位置によって、音程に幅を出すのですが、この奏法を「塩梅(えんばい)」といい、「塩梅」の語源ともいわれています。

ですから、「安牌」と塩梅」は、語源も意味も異なる語です。

「塩梅」は「按排・按配」と同音同義語!

なお、塩梅」には、同音同義語の「按排・按配」があります。

もともと「あんばい(按排・按配)」という言葉があり、これは「具合よく並べる」「うまく処置する」という意味の言葉で、「良い具合にする」という点で「塩梅(えんばい)」と意味が似ていたことから混同されました。

「按排・按配(あんばい)」と「塩梅(えんばい)」が混同され、「塩梅(えんばい)」が「あんばい」と読まれるようになり塩梅・按排・按配のいずれも同じ言葉として扱われるようになったと言われています。

この混同は室町時代ごろに起こったとされており、料理の味だけでなく、広く物事の具合や健康状態などを「あんばい」というようになり、現在に至ります。

塩梅」の例

  • ・・・ない、芝居の娘形を摸したような風なのが、閾際で挨拶をして顔を挙げると、はっとした塩梅で、お若の傍へ匐るように坐って、 「貴方、先日はどうも。熱いのね、姉さん。」と菫・・・尾崎 紅葉(著)「多情多恨」
  • ・・・ッひひ。」と笑っていた。毎日、背中に絶えず冷たい濡れ雑巾でも当てられているような塩梅だった。元より私には以前から自瀆癖があったが、併し桃園町へ女を訪ねて行ってからは・・・車谷 長吉(著)「贋世捨人」
  • ・・・料金はかさむ。料金は、使ったあとで分かることだ。そうなると、自分で排出量を適当に塩梅していくしかない。 いまは国家予算にしても、企業の売上高にしても、温暖化ガスの排・・・坂田 龍松(著)「『もったいない』の復活」

 

安牌」「塩梅」の違いまとめ

  • 安牌(あんぱい)」と「塩梅あんばい)」は、発音は似ているが、語源も意味も異なる語。
  • 安牌」は、麻雀用語の安全牌が元の言葉で、「当たり障りのない無難な選択、行動」リスクをとらない選択」を指します。
  • 塩梅」は、「味加減」あるいは「雅楽の奏法」を語源とする言葉で、「具合や様子」を指す言葉です。

参考文献

  • 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
  • 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
  • 編 柴田武・山田進 (2002)『類語大辞典』講談社.
  • 編 藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光 (2011)『漢字源』改訂第五版, 学研.
  • 著 鎌田正・米山寅太郎(2013)『新漢語林』第二版, 大修館.
  • 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年12月4日).
  • 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年12月4日).
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)

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