「足早」とは
「足早(あしばや)」には、複数の意味があります。
1つ目は文字通り「ふつうより速く歩くこと」で、歩く速さの意味として使用されます。
2つ目は「比喩的に時間が素早く経過すること」の意味として使用されます。
そして3つ目は「比喩的な移動や接近の早さ」の意味として使用されます。
「足早」は、読みも意味も同じで「足速」と書くこともあります。
- 私は足早に歩いた。
- 彼はせかせかと足早に歩く。
- 今年の秋は足早に過ぎていった。
- 様々なことが重なり考える暇もなく、悲しみが足早に過ぎ去っていった。
などのように使われます。
「足早」は、上述のように、足の速さだけでなく、比喩的な意味での時の早さを表したり、「彼は足早に現場から立ち去った」のように、比喩的な移動や接近の早さも表す言葉です。
なお、「足早」の「足」は人や動物の足の意味や「進む」という意味を表し、「早」は時刻、時期、季節、速度など様々な意味での「早い」を表します。
「足早」の類義語には、「快走」「急ぎ足」「せかせか」などがあります。
「足早」の使い方




「足早」の例文
- ・・・とする。でも、もしかして様子がおかしいと何となくわかったのかもしれない。 町中を足早に通り過ぎ、誰もいない田畑の間の道に出た。刈り入れの終わった田んぼと黒々とたがや・・・矢崎 存美(著) 「幽霊は生死不明」
- ・・・言った。大久保帯刀という旗本の屋敷なら、すぐそこの本方寺の向い側にある。総司は、足早に歩き出した。血を流す娘を背負った若い総司の姿が、月光の中で幻想的な感じに見えた・・・笹沢 左保(著) 「剣士燃え尽きて死す」
- ・・・書き残すと、さっきお父さんが数え上げたもろもろの後始末をすばやく片付けて、亜紀は足早に部屋を出る。あらかじめしっかり計画を立てておけば、五分以内にすべての段取りをす・・・法月 綸太郎(著) 「ザ・ベストミステリーズ」
- ・・・をしゃくった。 白のウォーキングシューズで足元を固めた綾乃は、マンションを出るや足早に歩いた。商店街へ出たところで周囲を窺い、ハンドバッグから携帯を取り出す。涼子を・・・永瀬 隼介(著) 「永遠の咎」
「足早」と「早足」の違いは?

「足早」と「早足(はやあし)」の違いを見ていきましょう。
「足早」は、上述のように、意味がいくつかあり、実際の足の速さや、比喩的な移動や接近の早さ、そして、比喩的な時間の流れを表す意味として使われます。
一方、「早足」も、意味がいくつかあり、まず「速い足取りで歩くこと」という意味があります。
「学校まで早足で急ぐ」や「彼女はとても早足だ」のように、いつもの速さより速く歩くことを表す言葉として使います。
さらに「競馬や馬術などの、馬の歩く速さ。馬の並足(通常の歩くスピード)と駆け足の中間のスピードで、1分間で210mを基準とする速さ」という意味もあります。
なお「足早」の「ふつうより速く歩くこと」と「早足」の「速い足取りで歩くこと」という意味に変わりはありませんが、実際に使用する際には違いがあります。
「早足」は「あの男性は早足だ」のように、動詞などを伴わず、そのまま使用することも可能ですが、「足早」は、「あの男性は足早だ」とは言わずに、「あの男性は足早に歩く」のように動詞などを伴う必要があります。
「早足」の例
- ・・・上でなめらかにヘリコプターを旋回させ、わずかに減速し、それでも、古生物学者たちが早足で三十分かかったところをほんの数分で通過した。わたしたちは現場のすぐ上空に、ダコ・・・サラ・アンドリューズ(著) 「化石の殺人」
- ・・・使は「それじゃあ、僕はこれで失礼する」と席を立ち、風のように去っていった。決して早足ではないのだが、歩調が滑らかなせいか、早送りしたビデオ映像のように、よろず鑑定師・・・清涼院 流水(著) 「トップラン」
- ・・・ペチカの煙突も亀裂があらわに煤けていることもだ。 「こっちだ、こっちだ」 ぼくは早足になっていた。王向東さんと周翔さんも、ぼくと同じ方角へくる。下調べしてくださって・・・水上 勉(著) 「瀋陽の月」
- イスを背後に滑らせて立ちあがると、いいおくなり合い鍵屋を目指して走った。途中から早足になり、店のドアにたどり着いた時には、通りすがりの客といった歩き方になっていた。・・・香納 諒一(著) 「孤狼の絆」
「足早」「早足」の違いまとめ
- 「足早」は、意味が複数あり、足の速さの意味だけでなく、比喩的表現で時間の流れを表す場合や移動や接近の早さなどでも使用される。「足早」のあとに動詞なども伴って使うことが多い。
- 「早足」は、速く歩くことを表す言葉で「足早」とほぼ同じ意味であるが、「早足」は馬の歩く速さという意味もある。「早足」は、動詞などを伴わずそのまま使用も可能。
参考文献
- 編 山田忠雄・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2020)『新明解国語辞典』第八版, 三省堂.
- 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
- 編著 北原保雄 (2010)『明鏡国語辞典』第二版, 大修館書店.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月17日).
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月17日).