「唖然」とは?ポジティブな意味?
「唖然」とは、「あぜん」と読み、「思ってもいないことが起きて、驚き呆れて声が出ない様子」を表している言葉です。
予想外に「良くないこと、好ましくないこと」が起きた時に使われ、後から怒りや不満などの気持ちが湧いてくることが多く、ポジティブな意味では使われません。
- あの司会者の差別的な発言には唖然としてしまった。
- 独り暮らしを始めた娘の部屋を見た母親は、その散らかりように唖然とした。
- 尊敬していた課長が突然解雇された理由を聞いたときは唖然とするしかなかった。
- チームが逆転サヨナラで負けた瞬間、ファン一同唖然となった。
などのように使われます。
「唖然」の「唖(あ)」の字には「驚いた時にあっと出る声」という意味があり、「然」は様子を表しますから、「唖然」は、「あっ」と言ったまま絶句してしまうことです。
そこから「唖然」は、「思いがけない出来事に驚きあきれて声も出ない様子」を意味し、驚いた時の状態を表す言葉として使われるようになりました。
「唖然となる、唖然とした」と用いられることが多く、単に「驚く」という意味に留まらず、あいた口が塞がらないほど想像を超える出来事に直面して呆気に取られてしまうほどの場合に使います。
また、「唖然失笑(あぜんしっしょう)」という四字熟語がありますが、「驚きあきれ、思わず笑ってしまうこと」という意味です。
例えば、街中で誰もが振り向くほど全身ヒョウ柄でキメている友人から「私、目立つのは苦手なの~。」と言われたら、おそらく「唖然失笑」してしまいます…。
「唖然」の類義語は、「呆然」「茫然自失」「放心状態」などがあります。
「唖然」の使い方




「唖然」の例文
- ・・・テーブルの上を旋回し、飼い主を見つけると手紙や小包をその膝に落としていくのを見て唖然としたものだった。 ヘドウィグは今まで一度も何も物を運んできたことはなかった。で
- ・・・ん。同じ道産子としてホント恥ずかしいったらないわよ」 食ってかかる二人に、健介は唖然としていた。 しかしこのことが、遊里子と健介を急速に近づける出来事になったのだ。
- ・・・メしており、すえたような匂いが充満。そのあまりにも陰気で貧しげな世界にはただただ唖然とするのみだった。しかもよそ者が来たと、みんなから険しい目でジロジロと見られ、お
- ・・・へはもう十キロくらいかいなあ、これからは道が細いのに」と陽気なお返事があり、一瞬唖然としました。 晩夏の日差しはかなり斜めとなり、これから登頂する狭くつづら折りの難
「唖然」と「呆然」の違いは?

「唖然」と「呆然」の違いを見ていきましょう。
「唖然」は、「思いがけない出来事に驚きあきれて声も出ない様子」のことで、驚いた時の状態を表しています。
「呆然」は、「ぼうぜん」と読み、「予想外の出来事にあきれてあっけにとられる様子や、気抜けしてぼんやりしている様子」を表しています。
つまり、驚いた時にどんな状態になっているかを表している点では、「唖然」と同じです。
また、「唖然」と「呆然」どちらも、予想外に「良くないこと、好ましくないこと」が起きた時に使う点と、ちょっとやそっとの驚きではなく想像をはるかに超える出来事という点も同じです。
「呆然」の「呆」は、「愚か、あきれる、ぼんやりしている」という意味です。
「唖然」と「呆然」の違いは、予想外の出来事が起きて驚き呆れて、「言葉が出ないほど」の状態か、「気が抜けてぼーっとするほど」の状態か、という点です。
つまり、「呆然」はぼーっとして頭の回転が止まっている状態ですが、「唖然」は言葉が出ないだけで思考はできている状態とも言えます。
個人差はありますが、「呆然」の方が、強く精神的ショックを受けた時に使われ、それと比べたら「唖然」は、言葉がでないという強いショックではあったけれど、比較的立ち直りやすい出来事に使われる言葉と言えます。
ところで、いい意味で「驚いて感心した」という表現には、「驚嘆(きょうたん)」がありますので、褒める際にはそちらを用いるとよいでしょう。
「呆然」の例
- ・・・間違えました」 ツーツーツー。 電話が切れてからも、しばらく携帯を耳に当てたまま呆然としていた。彼がこの番号を知っているはずはない。あの頃は、携帯なんてほとんどなか
- ・・・光と富を誇示していた。 二つの黒い影は、その造り酒屋の前で足を止めていた。前方を呆然と見つめて立ち尽くすケイ。 そこには身の丈ほどの雪の壁が行く手をさえぎり、この道
- ・・・達の親切なサーヴィス態勢をよく知っている和泉邦春先生は、この荒廃した有様を知って呆然自失した。 〈たいへんだ! これでは図書委員の仕事は多すぎて、何から先に手をつけ
「唖然」「呆然」の違いまとめ
- 「唖然」と「呆然」は、どちらも「予想外の出来事に驚きあきれて強いショックを受けている状態」を表す言葉です。
- また「唖然」、「呆然」とも、予想外に「良くないこと、好ましくないこと」が起きた時につかいます。
- 「唖然」は、「驚きのあまり言葉が出ない状態」を指します。
- 「呆然」は、「驚きのあまりぼーっとした状態」を指します
参考文献
- 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 監 林 四郎 編 篠崎 晃一 ・相澤 正夫・大島 資生(2021)『例解新国語辞典』第十版, 三省堂.
- 編 柴田武・山田進 (2002)『類語大辞典』講談社.
- 編 藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光 (2011)『漢字源』改訂第五版, 学研.
- 著 鎌田正・米山寅太郎(2013)『新漢語林』第二版, 大修館.
- 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月18日).
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月18日).